ここが我「ふるさと」と思える環境を
昭和40年代後半から50年代にかけ日本の高度経済成長期の中、女性の社会進出と相俟って核家族化が進み、都会を中心に「カギっ子」という新語が生まれた時期がありました。子どもたちはランドセルに家のカギをさげ登校し、放課後はそのカギで玄関を開け、保護者が帰宅するまで過ごす家庭が、チラホラと見受けられるようになった時代です。
当時は、ほとんどの家庭のガスコンロや風呂のガス釜は、マッチを擦って点火するやりかたでしたので、大箱のマッチ箱は各家庭の常備品でした。これを帰宅した子どもたちがいたずらして、焼死するという痛ましい事件が全国各地でおき、新聞等を賑わしていました。
このような時代背景の中、中田地域に住んでいる小中学校の先生、公務員や病院勤務の看護師さん等、共稼ぎ家庭の保護者が、中田に学童保育所を作って欲しいとの運動を展開していました。
このような活動が中田地域の自治会役員、特に山百合自治会・中下自治会両自治会役員を動かし、「カギっ子」対策だけにとどまらず、社会貢献活動の一環として認識されていき、次のような目的を掲げ事業開設に向けスタートしました。
- 1.放課後の地域の子どもたちが安心・安全に楽しく充実して過ごす事により、働く保護者の方々が全身全霊で業務に打ち込める環境を作ること。
- 2.子どもたちが学校生活と違う集団生活において、それぞれの年齢における心身の発達、社会性、創造性などを学び養うこと。
- 3.地域の中の施設故、学童保育所に通う子どもたちが、ここが我「ふるさと」と思える環境を、地域一体となって作っていくこと。
1. 中田学童保育所おひさまクラブ
横浜市の委託事業(現在は補助事業)として、学童保育所を開設す るには、
- ①自治会等の地域と保護者が一緒になって運営すること
- ②場所は自前で確保すること
等ハードルは若干高かったのですが、折しも山百合・中下の共同自治会館の建設が持ち上がり、この建設と歩調を合わせ開設の準備を進めることになり、1980年5月1日横浜市の認可を得て、自治会館が完成するまでの間、一時的に保護者宅を間借りして開設。 同年12月1日に山百合・中下自治会館が完成と同時に、ここを拠点に本格的に「中田学童保育所おひさまクラブ」の活動をスタートさせました。
中田地域1ケ所だけだったために、中田小学校、東中田小学校、葛野小学校、伊勢山小学校、4校の子どもたちが通っていました。
その後、地下鉄の開通など交通の便も良くなり、東京・川崎・横浜市内等に勤務する人が増加するに伴い、共稼ぎ家庭、父・母子家庭等の子供たちが増えていきました。
2. 中田東学童保育所たいようクラブ
2006年4月1日東中田小学校と中田小学校の東方面の子どもたちを対象に中田学童保育所おひさまクラブを分割し、「中田東学童保育所たいようクラブ」を開設。
3.中田南学童保育所さんさんクラブ
2014年4月1日に中田東学童保育所たいようクラブを分割し、「中田南学童保育所さんさんクラブ」を開設。
4. 立場学童保育所はればれクラブ
2015年4月1日に中田学童保育所おひさまクラブを分割し、伊勢山小学校専用に「立場学童保育所はればれクラブ」を開設。
5.宮ノ前学童保育所そよかぜクラブ
2018年4月1日中田東学童保育所たいようクラブを分割し、東中田小学校専用に「宮ノ前学童保育所そよかぜクラブ」を開設。
NPO法人ソラ
これら5カ所の学童保育所の運営委員会にそれぞれ事務局、会計を置きその役員は、保護者の方々が担当していましたが、保護者の方々にとって、本来の仕事をこなしながらの運営事務は、大きな負担となっていました。
これら運営に係る保護者の負担を無くす事と、運営業務の効率化等を目的に2020年4月1日に「NPO法人ソラ」を設立し、各クラブで行っていた運営事務の一元化を行いました。
2021年4月1日には運営委員会を解散し、「NPO法人ソラ」が正式に運営母体となり、各クラブ運営をスタートさせました。
現在、約200名の中田の子どもたちが、地域の方々に見守られながら、元気よくハツラツと中田地域5つの学童保育所に通っています。
今後とも保護者の皆様が懸命に子育てをする中で、仕事に邁進できる環境作りのお手伝いをさせて頂きたいと思います。
NPO法人ソラ 理事長 髙橋 文治郎
NPO法人ソラ 副理事長 伊藤 照秀